演目之筋：

妖気渦巻く平安京では、屡々【妖辻】なる門が産まれる。
その辻の向こうは遠き離れた地に繋がる時もあれば、
現世の理にまつろわぬ恐ろしき異界が広がる時もある。
之は、そのような【妖辻】のうちが1つにて編まれし物語である。

──むかし、むかし、あるところにおじいさんとおばあさんがおりました。
ある日おじいさんが山へしば刈りに、おばあさんが川へ洗濯に行くと、
川の上流からどんぶらこどんぶらこと、おおきな家が流れて来ました。
家の中にいたドロシーはもといた場所へ帰るため、鬼ヶ島へオズ退治に向かいます。
いぬ、かかし、ライオンを連れて鬼ヶ島へやってきた桃太郎は、
身体の中から縫い針を刺して鬼をやっつけてしまいました。
褒美に願いが叶う小槌を賜った一寸法師でしたが、家に帰る事はできませんでした。
どこへ帰りたかったのかも、何を願おうとしていたのかも、忘れてしまっていたのです。
そして、己の名前さえも。
めでたし、めでたし。